VOL. 043
おろしたてのタオルの気持ちよさを長持ちさせる秘訣とは?
UPDATE
ふんわりと柔らかい物に触れた時ヒトはリラックスし、とても幸せな気持ちになります。
日々肌に触れるタオルもその一つですが、おろしたてはふわふわだったタオルがいつしかゴワゴワになってしまうのは何とも残念です。
前回のHIPPO JOURNAL / VOL.042ではタオルの寿命や、その延ばし方についてふれましたが、その主な手段であるタオルの洗い方について今回は深掘りしていきたいと思います。
「おろしたてのタオルのふわふわを長続きさせたい。」
「こだわって買ったタオルだからこそしっかりケアして長持ちさせたい。」
そんな皆様には必読の内容です。
1. 新しいタオルはまず洗おう
購入したてのタオルは、例えすぐには使わない場合でも一度水洗いしましょう。 生産の最終行程で付着しがちな毛クズやホコリの除去や雑菌の繁殖を防ぐだけでなく、タオルの素地が程よく締まり、糸伸びしにくくなる効果もあります。
一般的に使い初めのタオルの多くは毛羽落ちし、中には色落ちするものもありますので、他のもとは別洗いされることをオススメします。
流通の際にホコリや臭いが付着しないように、検品済みのタオル1枚1枚の袋詰めを徹底しているHippopotamusのタオルにおいても例外ではなく、検品前の手作業工程で発生する毛くず・ホコリの付着は否めません。
また、こだわりのモノづくりにより色落ちはなく毛羽落ちも少ない(※)タオルではありますが、特長である鮮やかな色合いのためその少ない毛羽落ちが目立ってしまいますので、やはり最初のお洗濯は白物や他の洗濯物と別洗いをお願いしております。
(※)
・Hippopotamusのタオルは染色後、四国・石鎚山系の地下水で5時間以上洗いにかけますので、基本的に色褪せはしても色落ちはいたしません。
・脱毛率(毛羽落ち量の検査です)は今治タオルの基準である「0.2%以下」を大きくクリアした0.02〜0.04%です。
[検査元/QTEC(日本繊維製品品質技術センター)
2. タオルはいつ洗う?
タオルを洗う頻度はかなり個人差があるようですが、汚れや臭いの元となる細菌は、放置すればするほど定着、繁殖して落ちにくくなってしまうので、タイミングとしては『使用したらすぐ』というのが理想です。
入浴後に使用したバスタオルなどは一見して清潔に思われがちですが、実際には汗や洗い残した皮脂や角質、石鹸の残りなど実に様々なものが付着しています。これらが細菌のエサとなり臭いや黒ずみの元となってしまうのです。
もっとも宜しくない状況は、夏季に使用後のタオルを濡れたまま洗濯機に入れ、蓋を閉めた状態で数日放置することです。
通気の悪い洗濯槽への放置はカビの温床となり、タオルだけでなく洗濯槽にまでカビがはびこった結果、それ以降の他の洗濯にも悪影響が出てしまいます。
と言いましても、使い終わったタオルを毎回すぐ洗濯するというのはかなりハードルが高いと思います。
そこで毎日毎回とは言わずともこまめに洗濯することを前提としつつ、使用後から洗濯までの保管を通気性の良いカゴにしたり、一度陰干して乾かしておくなどをすることでかなり状況は違ってきます。
3. 洗濯の時はネットを使う
他の洗濯物との摩擦はタオル生地を摩耗させます。また、衣類などの金具にパイルが引っかかり毛伸びしたり、絡まったりすることがあります。それらを防ぐためにタオルをネットに入れて洗いましょう。
タオル同士の摩擦を防ぐべく、1つのネットに1枚ずつタオルを入れたいところですが、フェイスタオルやハンカチタオルなどの小ぶりなサイズを数枚一緒にお洗濯することもあるかと思いますので、バスタオルは単独で、フェイスタオル以下のサイズは何枚かまとめてネットに入れる形でも良いと思います。
ネットのサイズに対して詰め過ぎてしまうと、洗いもれが生じますので容量に余裕を持たせるようにすることが大切です。
4. 洗濯の結果を左右する4大要素
ここでタオルだけではなく洗濯全体のお話になります。
洗濯はさまざまな要因で結果が大きく左右されますが主なものは下記の4つです。
◾️水の硬度
水の硬度とはいわゆる硬水、軟水のことです。
日本は世界と比べますと軟水のイメージがあるかと思います。事実そうなのですが、実は関東や九州の一部、沖縄などは硬水に近い傾向にあります。硬水で石鹸を使用した場合泡立ちが悪く洗濯物がゴワついてしまったり、髪を洗うとキシむことがあります。
これは硬水に含まれるカルシウムやマグネシウムが石鹸成分や、髪のたんぱく質に反応し付着してしまうからです。
◾️洗濯機、乾燥機の種類
主にドラム式洗濯機と縦型洗濯機の2種類に分かれますが、同種の洗濯機でも製品により大きく機能が異なります。
一般的なそれぞれの特徴は下の表をご参考ください。
ドラム式洗濯機 | 縦型洗濯機 | |
---|---|---|
洗い方 | たたき洗い | もみ洗い |
水量 | 節水傾向 | 水量多め/調節機能あり |
生地へのダメージ | 少ない | 摩擦多め |
得意な汚れ落とし | 皮脂汚れに強い | 泥など固形の汚れに強い |
◾️洗剤
種類としては合成洗剤、洗濯用石鹸、洗濯用複合石鹸の3つに分かれますが、メーカにより粉状や液体の違いはもちろんのこと、添加物の有無や酵素による洗浄力強化など実にさまざまな商品が流通しています。
洗濯用石鹸は安価で仕上がりが良くナチュラル指向ですが、取り扱いが難しいところがあり、この4大要素に左右されがちです。
合成洗剤はその全く逆で洗い上がりに難が残る場合もありますが扱いがとにかく簡単です。洗濯用複合石鹸は洗濯用石鹸に少量の合成界面活性剤を加えたもので、石鹸の長所をしっかり残しつつ、取扱いの難しさを緩和した洗剤です。
◾️洗濯する内容
洗濯物の素材(コットン/ウール/化学繊維など)や、汚れ具合、皮脂量など。
皮脂量が最も多いのは10代後半から20代前半で、男性は女性の約2倍の分泌量です。
この4大要因はご家庭ごとに異なりますので、洗濯のやり方も「このやり方がオススメです」とは一概に申し上げられませんが、基本的にはどの条件下においても共通して申し上げられる内容をお伝えしていきたいと思います。
5. 洗剤と柔軟剤について
タオルがゴワゴワしてしまう原因の一つに洗剤や柔軟剤の使い過ぎがあります。
「汚れを落としたい」 「肌触りを良くしたい」 「良い香りをつけたい」そういった思いからつい、メーカーの指定量より多く入れてしまってはいないでしょうか?
洗濯で落ち切らなかった洗剤、柔軟剤の蓄積がゴワつきや黒ずみ、悪臭の元となってしまったり吸水力の低下の引き金となることがありますのでご注意ください。
◾️タオル洗いに適した洗剤
タオルの洗濯には天然油脂(石けん)が適しています。
油脂によりパイルがふんわり滑らかに仕上がるだけでなく、タオル本来が持つ吸水力を損なわず保ちます。
ですが洗濯用石けんは前章の4大要因の影響をとても受けやすく、結果として取り扱いの難しさ(低水温時の石けんカスの発生、皮脂量や水の硬度によって使用量の調節が必要など)が残ります。
そこでHippopotamusでは「洗濯用複合石けん」をオススメします。
洗濯用複合石けんとは耳慣れない言葉かと思いますが、洗浄成分の7割が石けん、残りの3割が合成界面活性剤を使用するという規定でできているため、その内容通り両者のいいとこ取りをしたまさにタオルにはうってつけの洗剤です。
◾️柔軟剤との付き合い方
繊維に薄く皮膜を張ることで肌触りを滑らかにするのが柔軟剤の実態ですので、衣服にとっては効果的ですが、お水を吸うことも目的とするタオルにとってのそれは残念ながら邪魔でしかありません。
特に新しいタオルにとっては本来持っている吸水力がダウンするだけでなく、繊維が滑らかになり過ぎることにより、毛伸びや毛羽落ちが発生しやすくなってしまいます。
使い込み、硬くなったタオルに対してたまに(2〜3回の洗濯につき1回程度)、使用することをオススメします。
またその際はメーカ指定の用量を守って使い過ぎないようにしましょう。
もしタオルに香りをつけたいという事でしたら、洗濯後にお好みのリネンスプレーやアロマスプレーなどを吹き付けてみるのはいかがでしょうか。
そういった付き合い方での柔軟剤は、年季の入ったタオルを幾度となく生き返らせてくれる素敵な味方となります。
6. たっぷりの水で洗って、すすぎは2回
◾️タオルを洗う水
タオルの洗い方にとってもっとも重要なポイントがこの「たっぷりの水」です。
洗濯量に対して余裕をもたせた水量の中でヒラヒラと泳がせるように動かすことで、生地を痛める原因の摩擦は少なく、汚れもしっかりと浮き出て洗い残しが無くなります。
現在の洗濯機は自動で水量が設定されるものがほとんどですが、ご自身の判断でタオルがしっかり泳げるように水量や洗濯量の調節を意識されてみてはいかがでしょうか。
ドラム式洗濯機は洗いの水量を調節できないものもあります。
また、そもそも「たたき洗い」で汚れを落とす設計ですので、洗濯物を詰め込み過ぎたり水量が多すぎると洗浄力が落ちてしまうことがあります。
そこで、すすぎの際に回数を増やしたり、「注水」機能で水量を増やしたりすることが効果的です。
また、入浴剤入りの残り湯での洗濯は、入浴剤に含まれる成分や色素がタオルの変色や黒ずみ、臭いの元となる可能性がありますので、極力お控えいただき、入浴剤無しの残り湯を使われる場合でもすすぎは清水でされた方が良いでしょう。
◾️すすぎはしっかり2回以上
タオルは多くの水を含みますので、すすぎがしっかり行われないと洗剤や汚れの残りが蓄積してしまいます。
これが悪臭や黒ずみの原因となるだけでなく、パイルがふんわり立つことを阻害します。
すすぎはたっぷりのお水で最低2回〜をオススメします。
7. タオルの干し方/乾燥について
■パタパタはためかせて陰干し
タオルにとって紫外線や高温による過度な乾燥は大敵ですので、天日干しや乾燥機よりも基本的には陰干しを推奨します。
まず、脱水した後のタオルはあまり放置せず早めに干しましょう。生乾きによる雑菌の繁殖で、悪臭や黒ずみの原因となりだけでなく、乾いた後のタオルの質感に悪影響を及ぼします。
タオルを二つに折り、5〜10回程度パタパタと振り、風通しの良い日陰の場所に干します。
この作業がパイルを立て空気を取り込み、ふわふわタオルの下地をつくります。
この5〜10回はためかせたタオル4枚と、何もせずそのまま干したタオル4枚とを同じ畳み方で積み上げてみますと、タオル1枚分のボリューム差が出るほどわかりやすくふんわりします。
ぜひお試しください。
そのまま陰干しで終えるのが理想ですが、なかなかそうもいかない場合が多々あるかと思います。
生乾き臭の元となるモラクセラ菌は脱水後5時間を経過したあたりから爆発的に繁殖するため、その時点で渇ききっていない場合は天日干しや乾燥機で一気に乾かして下さい。
特に乾燥機はさらにパイルを立ててくれるので、よりふんわり仕上げてくれます。仕上げに使う程度であればタオルへのダメージも少なく、電気代の節約にもなりますので、タオルにおいての乾燥機の使い方としては理想的です。
■天日干し/乾燥機
どうしても生乾きなどが心配で最初から天日干しをされたい場合は乾いた時点で取り込むよう意識しましょう。 水分が抜け切ってしまうほどの過乾燥は生地にダメージを与え、紫外線はタオルのカラーを変色させてしまいます。
陰干しの場所の確保や時間が無く、乾燥機で全て乾かすという方も多くいらっしゃると思います。
その場合はできるだけ乾燥させすぎないように、洗濯物の内容や量を調節し、適度な乾燥時間を見つけ出してみると良いと思います。
8. おわりに
さて今回の「おろしたてのタオルの気持ちよさを長持ちさせる秘訣とは?」はいかがでしたでしょうか。
ご紹介した全て実践することは大変かと思いますので、できるところから少しずつでもお試しいただけましたら幸いです。きっと効果は感じられると思います。
ふわふわでほのかに良い香りがするタオルをご自身でつくり、そのふわふわをお風呂上がりやベッドで堪能されるも良し、ホットタオルをつくり目に当ててみるのもオススメです。
<ホットタオルの作り方>
1. タオルを濡らして軽く水気を絞り、ロール状に丸めてラップで包みます。
2. 電子レンジで温めます(500w/40~50秒)
3. 手で触れる程度まで冷めたら完成です。5分程度目に当てるだけでかなりリラックスします。